2階をシアタールームにリフォーム。エレキ楽器演奏などもできる家族で楽しめる部屋。
Yさんの多目的シアタールーム
仕事場に隣接する住宅の2階には、仕事に関する書庫や勉強・研究する広め(約16.4帖)のサブ的な部屋がありました。 その部屋を、学生時代からの趣味であり、地元のビッグバンド活動もしているエレキベースの演奏ができる防音室に大改造。 それに加えて、オーディオルーム兼家族が楽しめるシアタールーム、もちろん書庫兼書斎コーナーも確保しました。
1. エレキベースが弾ける防音性能
アコースティックギターはともかく、エレキギターとなるとその音の大きさにほとんど満足のいく音量が出せないのがストレスになっていました。
近隣の環境は首都圏よりめぐまれていて、住宅はかなり離れていますが、逆に静かすぎて夜間の音出しは初日であきらめたそうです。
2階の明るい部屋だったので、防音的には最大の弱点である窓を出来る限り残したうえで、最大の防音効果をめざす設計となりました。
床・壁・天井の二重浮構造はもちろん必須ですが、このように窓がある場合は、外部への防音性能は80%以上が窓の性能で決まります。
ベランダの窓は、二重引違サッシュ+防音硝子引戸、その他の窓はFIX窓として外への遮音性能D’-59を確保しています。
2. 住宅内部への防音
昼間は業務で忙殺、夜間での使用が多いので、家族への配慮は当然のこと。出入り口は二重の防音ドアにしています。
階下への防音性能は、D-57を確保。
エレキ楽器で大音量の場合には少し聞こえるレベルですが、アコースティックのギターやオーディオ・ホームシアターの場合はほとんど意識しなければ聞こえないレベルです。
3. 音響室としての部屋の形
楽器演奏室であれ、オーディオルームであれ、防音の次に重要なのは、部屋の響き・・・とくに低音の響きになります。
中高音の響きは、部屋にもちこまれるものや吸音仕上げ材で、どのようにでもコントロールできますが、低音の響きは部屋の形(床と天井や壁間の寸法比率で)ほぼ決まってしまいます。
鉄骨系住宅の2階という制約に加えて、できるだけ天井を低くしないで二重防音構造にしたいため、寸法比率調整の範囲が限られていて、低音の定在波の悪い影響が出てしまう形になってしまうことが確実でした。
それを避けるために、スクリーン正面の壁を斜めにしました。
斜めにした壁によりスペースロスの問題が生じましたが、二重窓の間隔が広くとれて、かえって防音性の向上に利用。近隣対策で一番外へ防音したい面であったので、躊躇なく斜め壁を採用しました。
さらにその壁厚を利用してAVラックを半埋込に利用。
もちろんラック面では正対して取付けて、その上にフラットテレビを設置したので、変形平面の違和感はほとんど感じられず、スクリーンが全面に降りれば壁が斜めになっていることを全く感じません。
おかげで、寸法比率の悪い部屋にありがちな、低音の共鳴音にまとわりつかれることのない、スッキリとした響きになっています。
4. オーディオルーム&ホームシアター、それに楽器用PAシステム
スーパーウーファーを含んだ、7.1chのサウンドシステムと楽器演奏用のPA(Mixerを含む)システムは、別系統で各々の本来のサウンドが得られるようになっています。
短い対向壁面には、吸音パネルを設置。本棚やカーテンなどの家具什器を含めてやや吸音気味に設計した響きは、エレキ楽器演奏とホームシアターに適したクリアな響きの残響になっています。
壁はダークグレー基調でまとめ、ホームシアター向きのインテリアにしていますが、明るめのフローリング、間接照明が効果的な天井とあいまって電動暗幕スクリーンを上げるだけで手軽に明るい部屋に変身します。
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